パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「なに買うの?」

「というか、なにが食べたいですか」

まず、そこから問題なのだ。
メニューを決めなければ買うものも決まらない。

「花夜乃さんの作るものなら……」

「なんでもいいはダメですよ、なんでもいいは。
せめて和洋中、肉か魚か決めてください」

言ったあとで、またさっきみたいに落ち込まれたらどうしようと彼をうかがう。

「えーっ」

しかし不満を漏らされただけで終わってほっとした。
学習能力の高い人で助かる。

「そうだなー、和食系かな。
肉か魚は花夜乃さんが決めていいよ。
……あ」

なにか思い出したのか、彼が上方を見る。

「彼女の作った肉じゃがが食べてみたい」

へらっと締まらない顔で彼が笑う。

「はいはい、そうですか」

それをさらっと流し、買うものを決めてスーパーの中へと足を進めた。

商品を見ていたら、駒木さんが顔を寄せてくる。

「ねえねえ、新婚さんみたいだね」

嬉しくて堪らないのか、彼の顔はふにゃふにゃだ。

「あー、そうですかねー」

素っ気なく流し、商品をカゴに入れてその場を離れる。

……え、まわりにはそんなふうに見えてるの?
そんなの……嬉しすぎる!

興奮しすぎたのか、腕時計がブブブッと震え、慌ててサイドボタンを二度押した。

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