パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
……気づかれてないよね?

「ん?」

彼の顔を見上げたが、不思議そうに見返されただけでよかった。

「けっこう買ったね」

買ったものを詰めたエコバッグを、重そうに駒木さんが持ってくれる。

「そうですね」

だって今朝、あの家のキッチンをチェックさせてもらったが、調味料なんて一切なかった。
冷蔵庫の中も想像どおり、水と牛乳とチーズ、あとは冷凍室に氷だけだった。
お酒はどうしているんだろうと思ったら、立派なワインセラーがあるのを発見した。
駒木さんはワイン派なのらしい。

「先に入ってて」

車から家まで荷物を運ぼうとしたが、止められた。
それでも一回分、駒木さんの渡してくれた、服の入った紙袋を運んだ。

「あとは僕が運ぶから、ゆっくりしてて。
今から花夜乃さんは、料理もするんだしさ」

ぷにっと人差し指で私の鼻を押し、駒木さんが車に戻っていく。
お言葉に甘えて、先に部屋着に着替えさせてもらった。

「これで全部かな」

「そうですね」

あと二往復して駒木さんが運んでくれた荷物をチェックする。
全部降ろしてくれたみたいだ。

「じゃあ、ごはんの用意しますね」

「よろしくお願いします」

改まって駒木さんに頭を下げられ、ちょっとおかしかった。

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