パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
今日は肉じゃがをメインに、ほうれん草のおひたしとツナと野菜の和風スープ、あとはごぼうサラダにご飯。

「よしっ」

材料を確認し、調理を開始する。
肉じゃがの牛肉が黒毛和牛なのはもったいないが、仕方ない。
駒木さんから「これにしなよ」ってカゴに入れられちゃったし。
ちなみに母が福岡出身なのもあって、私の作る肉じゃがの肉は牛肉一択だ。

「僕も手伝おうか」

「ひゃっ!」

突然、後ろから駒木さんにのぞき込まれ、変な声が出る。

「もう、びっくりさせないでくださいよ」

「ごめん、ごめん。
そんなに驚くなんて思わなくて」

振り返った私の鼻を、彼は人差し指でぷにっと押した。

「手伝うって駒木さん、料理したことあるんですか?」

このキッチンでは疑わしいけれど。

「んー、……ないな。
いや、遙か昔、学校の調理実習でやったような……」

記憶を思い出そうと駒木さんは首を捻っている。
あ、ダメだ。
この人に包丁を握らせるのはよそう。

「座っててください、座ってて。
ほら、ステーイ」

汚れていた手を軽く洗って拭き、彼の肩を押してリビングまで連れていく。
そのまま、ソファーに座らせた。

「ステーイって、僕は犬じゃないよ」

< 155 / 219 >

この作品をシェア

pagetop