パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
唇を尖らせて駒木さんは不満そうだが、でも私にはときどき、犬に見える。

「それに僕だって花夜乃さんのお手伝い、したいのに」

うるうると目を潤ませ、お願いって見られたらつい、いいですよって言いたくなるけれど、怪我をしたら困るのだ。

「今日は、ダメです。
次は道具を揃えておきますから、お願いします」

「わかったよ」

渋々ながら駒木さんが引き下がってくれ、キッチンに戻る。
近いうちにピーラーを買っておこう。
あれで皮剥きなら安心だ。
……ん?
でも、ミスターパーフェクトな駒木さんなら、教えたら包丁も、料理もすぐにできるようになる……?

手際よく、料理をしていく。

「いい匂いがするねー」

肉じゃがの煮込みに入り、駒木さんの声が聞こえてくる。
彼はソファーで本を読んでいるようだった。

「もうちょっとでできますよ」

「楽しみだ」

彼の声は本当に、嬉しそうだった。

「できましたー」

できあがった料理を、ダイニングテーブルに並べていく。

「ご飯はパックご飯ですが、我慢してくださいね」

ご飯はこのお鍋でお米を炊く自信がないので、パックのにした。
これは今後の課題だ。

「おいしそうだね」

ほくほく顔で駒木さんがテーブルに着く。

「じゃあ、いただきます」

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