パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「いただきます」

駒木さんが肉じゃがを口に運ぶ。
それを、落ち着かずに見ていた。

……口にあわなかったらどうしよう。

そんな不安がつきまとう。

「おいしー。
花夜乃さんは料理が上手いんだね」

ふにゃんと本当に心の底から幸せそうに彼が笑う。
それを見たら、私の心がほわんと温かくなった。

「お口にあったんならよかったです」

私も箸を取り、肉じゃがを食べる。
同じように作ったはずなのに、いつもより美味しく感じるのはなんでだろう?

「おいしいねー。
花夜乃さんにこんなに美味しい食事を作ってもらえるなんて、僕は幸せだね」

本当に嬉しいがぽろぽろこぼれ落ちていそうな顔で、駒木さんはごはんを食べている。
ああ、きっとこんなふうに私の料理を食べてくれる人と一緒だから、私も幸せで美味しいんだ。

片付けは私がやると言ったのに、駒木さんがしてくれた。

「洗うくらい僕ができるよ。
それに食洗機もあるからね」

証明するかのように流しの脇の引き出しを開ける。
その中は食洗機になっているようだった。

「料理を作ってもらったんだから、僕が片付けるのが当たり前。
ほら、花夜乃さんは座ってて。
ステーイ、だよ?」

私の鼻をぷにっと押し、悪戯っぽく彼がふふっと笑う。

「……はい」

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