パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「花夜乃さんの役に立てたんならよかった」

眼鏡の向こうで目尻を下げて彼が笑い、ほのかに顔が熱くなった。

データも戻ったので、作業を再開する。
金曜に詰まっていたところは土日でリフレッシュできたのか、なんかいい感じにできたと思う。

「これでいいかなー?」

一度プリントアウトし、全体を見直す。
ついでに、誤字脱字もチェックした。
コンペはもう明後日だが、本当にこれでいいのか実は自信がない。

「花夜乃さん、終わった?」

もう仕事を終わらせ、私の隣の席で本業の仕事をしていた駒木さんが声をかけてくる。

「うーん、できたのはできたんですけど……」

いいのかな、これで本当に?

「自信ない?」

首を傾げ、彼が聞いてくる。

「そうですね……」

「んー、花夜乃さんはこれに、自分の持てる力を全部つぎ込んだ、って言い切れる?」

いつも私の鼻を押す指が、プリントアウトされていた資料をとん、と突く。

「言い切れます。
これは今の私を全部、つぎ込みました。
……でも、自信がないんです」

全部の力を出して、これを作った。
今の私の、最高作だと言ってもいい。
それでも大丈夫なのか、不安なのだ。

「なら、大丈夫だよ。
あとは当日、全力を出し切るだけ」

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