パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
駒木さんに言われると、そのとおりだって思えるのはなんでだろう。

「そうですね。
あとは本番頑張るのみですね!」

「そうそう。
じゃあ今日は、帰ろうか」

「はい」

パソコンを閉じ、帰り支度をする。

「なに食べて帰る?」

「え、作りますよ」

他に誰もいない、薄暗いホールでエレベータを待ちながら、つい駒木さんにくっついてしまう。

「ダメだよ、遅くまで仕事して花夜乃さんだって疲れてるんだからさ。
なにか食べて帰ろう」

駒木さんはどこまでも私に甘い。



「おはようございまーす」

翌日も駒木さんとふたりで出勤した。
仕事の準備をしようと引き出しを開けた――瞬間。
私は思いっきり、閉めていた。

……え?
なに、あれ?

自分の引き出しに入っていたものが、ありえなさすぎて処理できない。
なんであんなものが、私の引き出しに入っているの?
回りの声が遠く、自分の心臓の音しか聞こえない。
俯いて、硬く手を握りしめた。

「花夜乃さん?」

声をかけられて顔を上げると、駒木さんが横に立っていた。

「なにか、あった?」

心配そうに眼鏡の下で眉間に皺を寄せ、彼が私を見ている。
なにか言おうと口を開いたが、声が出てこない。
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