パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
それに冷ややかな視線を送り、足早に歩き出す。
「もしかして昨日、急用ができて君を待っていなかったのを拗ねているのかい?
だったら、謝るよ」
花束を小脇に抱え、彼が私を追ってくる。
それを無視して、勢いよく歩き続けた。
半ば小走りに歩く私と、タキシード姿で大きな薔薇の花束を抱えて追う彼との異様な光景に、道行く人が何事かと振り返る。
「なにか、会社であったのかい?」
彼の指摘でぴたりと足が止まる。
振り返って眼鏡越しに目のあった彼は、心配しているように見えた。
「僕でよかったら話を聞くよ」
彼の手が、私の手を取る。
この、もやもやした気持ちを誰かに吐き出したい。
しかし、彼は親切顔したストーカーなわけで。
「食事でもしないかい。
もちろん、僕の奢りだよ」
「……奢り」
その三文字に心が揺れる。
「そうだな、A5ランク黒毛和牛の焼き肉はどうだい?」
「……黒毛和牛の焼き肉」
その単語に知らず知らず、喉がごくりと音を立てた。
「食事だけ?
なにかしたりしない?」
「しないしない。
もし、気に障ることをしたら、警察に突き出してくれていいよ」
眼鏡の下で目尻を下げ、にっこりと彼が笑う。
その優しげな笑顔に、少しくらい信用してもいいかと思えた。
「もしかして昨日、急用ができて君を待っていなかったのを拗ねているのかい?
だったら、謝るよ」
花束を小脇に抱え、彼が私を追ってくる。
それを無視して、勢いよく歩き続けた。
半ば小走りに歩く私と、タキシード姿で大きな薔薇の花束を抱えて追う彼との異様な光景に、道行く人が何事かと振り返る。
「なにか、会社であったのかい?」
彼の指摘でぴたりと足が止まる。
振り返って眼鏡越しに目のあった彼は、心配しているように見えた。
「僕でよかったら話を聞くよ」
彼の手が、私の手を取る。
この、もやもやした気持ちを誰かに吐き出したい。
しかし、彼は親切顔したストーカーなわけで。
「食事でもしないかい。
もちろん、僕の奢りだよ」
「……奢り」
その三文字に心が揺れる。
「そうだな、A5ランク黒毛和牛の焼き肉はどうだい?」
「……黒毛和牛の焼き肉」
その単語に知らず知らず、喉がごくりと音を立てた。
「食事だけ?
なにかしたりしない?」
「しないしない。
もし、気に障ることをしたら、警察に突き出してくれていいよ」
眼鏡の下で目尻を下げ、にっこりと彼が笑う。
その優しげな笑顔に、少しくらい信用してもいいかと思えた。