パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
困ってしまって俯いたら、安心させるように肩をぽんぽんと叩かれた。

「もしかして、引き出し?」

その問いに黙って頷く。

「開けてもいい?」

私が頷き、さっきの引き出しを彼は開けた。
中を見て、黙って閉める。

「花夜乃さん。
今日はもう、帰ろうか」

それには首を横に振った。

「でも、つらくない?」

私だって、今すぐ逃げだしたい。
でも、コンペのプレゼンは明日なのだ。

「わかった。
これは僕が処理しとくから、花夜乃さんはとりあえず、僕の席に座ってて」

私に立つように促し、自分の席に連れていって彼は座らせた。
顔を上げると自分の席で駒木さんがなにをしているのか見えそうで、顔を伏せる。

……なんであんなものが、私の引き出しに入っていたんだろう。
使用済みの――コンドームなんて。

少しして駒木さんが私を連れていったのは、休憩所だった。

「花夜乃さん。
これは会社に報告すべきだと思うけど、どうする?」

椅子に私を座らせ、駒木さんがその前にしゃがんで視線をあわせ、両手を握ってくる。

……報告って、私がこんな目に遭ってるって、会社に知られるってこと?

それは怖くて、髪が乱れるほど首を何度も横に振った。
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