パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
きっと薬膳がゆだったから、その効果もあって私の気持ちがリラックスできたんだ思う。



翌日、出勤して戦々恐々としながら引き出しに手をかける。
まさか、二日続けてとかないよね?
隣に立った駒木さんが頷き、意を決してゆっくりと引き出しを開けた。

「……ない」

開けた引き出しは僅かに文房具が入っているだけで、それ以外はなにもなかった。
当然、あれも。

「よかったね」

「はい」

ほっとして引き出しを閉める。
今日はプレゼン当日、私を掻き乱してほしくない。

仕事をこなしながら、隙間時間でプレゼンの最終見直しをする。
不備はない。
あとは、私の全部を出し切って、上司たちに思いを伝えるだけだ。

「篠永さん、そろそろ」

「はい」

課長から声をかけられ、立ち上がる。
目のあった駒木さんがうん、と小さく頷いてくれた。
それに向かって私も、頷き返す。
私のプレゼンの、順番が時間が迫っていた。

「失礼します」

指定された会議室、中には三名、審査員が座っている。

「営業部、篠永花夜乃です。
よろしくお願いします」

挨拶のあと、私はプレゼンを始めた。
審査員は黙って私の話を聞いているので、反応がわからない。
それでも落ち着いて、プレゼンを続けた。
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