パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「以上になります。
なにか質問などありますか?」

「では……」

いくつか投げかけられた質問はどれも想定の範囲内で、慌てずに全部答えられた。
手応えはいい。
これで終わりなら、いい感じじゃないかな。

……などと思った、私が甘かった。

「そうね、着眼点もいい、実現性もある。
いい企画だと思うわ」

商品企画部長の言葉で、期待値が上がる。
産休明けからめきめきと頭角を現し、昨年部長になった彼女は、社内でも商品開発に厳しいとの噂だった。

「それに、可愛いあなたが開発しましたって宣伝すれば、話題にもなるでしょうね」

にっこりと笑った彼女が、なにを言っているのか理解できない。
それに、その笑顔は私には、作り物めいて見えた。

「でも私は、僕が頑張って作りましたって、努力が見えるものがいいの。
こんな、可愛い女子が思いつきで可愛いものを作りました、っていうのはねぇ」

彼女が左右の社員に同意を求めるように視線を送り、失笑が起きる。
思いつきなんかじゃない、私だって一生懸命考えた。
なのに、なんでこんな評価を受けなければならないんだろう。

「……そう、ですか」

「そう。
まあ、結果は言わないでもわかると思うけど、一応待っててね」

「……ありがとう、ございました」

< 175 / 219 >

この作品をシェア

pagetop