パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
それにフロアから離れたここでは、大きな声を出したところで誰にも聞こえない。
だからこそ男は、ここを選んだんだろう。

……今度こそ、犯されるんだ。

男の手がベルトにかかるのを、涙の浮いた目で見ていた。

「花夜乃さん!
花夜乃さん、いる!?」

ドンドン!
と激しく扉を叩く音共に、そこから怒鳴り声が聞こえてきて男の手が止まる。

「んーっ!
んーっ!」

聞こえないとわかっていながら、それでも私は必死に、声を出した。

「すぐに助けるから、待ってて!」

辺りをうかがいながら、男が私の背後へと回る。

「……んっ!」

その腕が私の首に掛かり、小さく悲鳴が漏れた。
しかも手には、大型のカッターナイフが握られている。

「花夜乃さん!」

外でなにかが壊れる大きな音がしたあと、勢いよく駒木さんが踏み込んできた。

「動くな」

見せつけるようにチキチキと刃を出し、男がカッターナイフを私の首に突きつける。

「それで?」

そこからはあまりの早業に、なにが起こったのかわからなかった。
気がついたら取り押さえられているのは私ではなく、男のほうだった。

「僕の花夜乃さんになにをした?」

「痛いっ!」

肩を強く押さえつけられ、男が悲鳴を上げる。
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