パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
公務員と言っているが、こんな超高級焼き肉店に私を連れてくるくらいだし、どこかの省庁の官僚なのかも。

「あっ、篠永花夜乃(かやの)……です。
二十四歳、会社員、です」

「知ってる」

ふにゃんと嬉しそうに気の抜ける顔で彼――駒木さんが笑う。
知ってる、とは?
やはりコイツは、ストーカーなのか。
幾分緩んでいた警戒心は、また一気に最高レベルまで引き上がった。

「悪いけどあの日、君に恋に落ちたあと、調べさせてもらった」

「えっ……」

にこにこ笑って彼は話しているが、身の危険を感じて鞄を掴み、そろりと腰を浮かす。

「おまたせしましたー」

そのタイミングで、頼んでいた肉や料理が出てきた。
サシの綺麗に入った牛肉は、いかにもおいしそうだ。

「ほら、焼きながら話そう」

さらに彼が肉を網の上にのせ、おいしそうな匂いが漂い出す。
おかげで口の中は唾液でいっぱいだ。

「……そうですね」

浮かした腰を再び下ろした。
こんないい肉、次はいつ食べられるかわからない。
それに、人がいっぱいの店内、なにかあれば騒げばなんとかなるはず。
結局、私は肉に釣られた。

「それでマイ・エンジェルは今日、なにをそんなに怒っていたんだい?」

「あー……」

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