パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
そのままじっと、レンズを挟んで彼と見つめあった。

「花夜乃さんはいつもひたむきで、負けず嫌いで、頑張っているからだよ」

真っ直ぐに私を見つめる瞳は、どこまでも澄んでいた。
そんな彼の言葉が、私の心にしみいっていく。

「僕は頑張る花夜乃さんが好きだ。
だから今日みたいに、花夜乃さんが頑張りすぎて疲れたときに、僕が休憩できる場所になれればと思っているよ」

駒木さんがゆっくりと私を抱き締める。
この人は私の努力を認めてくれるんだ。
それだけで今までの私が、報われた気がした。

「ありがとうございます、駒木さん」

彼の胸に顔をうずめ、胸いっぱいに匂いを吸い込む。

「私、ちょっと疲れていたみたいです」

駒木さんに飼われたいなんて嘘だ。
私は、私を正当に評価してもらいたい。
なら、こんなところで立ち止まっている暇なんてないのだ。

「また、明日から頑張ります」

空元気でもいいので、小さくガッツポーズをする。
そこでいいのかは謎だが、人事の相談窓口でコンペのプレゼンで言われたことを話そう。
それでもなにも変わらないのなら、会社を辞めて心機一転してもいい。

「花夜乃さんのその顔が、一番好きだよ」

ふふっと小さく笑い、駒木さんは私の鼻を人差し指の先で押した。

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