パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
ちゃんと自分でお風呂に入り、寝室でゴロゴロする。
最近、駒木さんに甘える癖がついちゃったな。
私の休憩できる場所、か。

「僕もそろそろ寝ようかなー」

駒木さんも寝室に来たので、携帯を置く。

「そういえば駒木さんって、なんで警察官になったんですか?」

駒木さんは働かなくても食べていけるほど収入があるから、警察官をやっているのが謎なのだと東本くんが言っていた。

「僕はね、ヒーローになりたかったんだ」

「ヒーロー?」

「そう」

一緒の布団に潜り、彼がおかしそうに軽く笑う。

「小さい頃、特撮ヒーローが大好きだったんだ」

なんだろう、目をキラキラさせて食い入るようにテレビを観ている駒木少年の姿が、容易に想像できる。

「すっごく格好よくて、憧れた。
それで、僕もヒーローになりたくて。
身近なヒーローといえば、町のお巡りさんだろ?
だから警察官になったんだけど……」

どうしてか、彼は憂鬱そうにため息をついた。

「でも、なぜかやっているのは悪者を捕まえたりじゃなくて、会議と書類処理ばかりなんだよね……」

本当に駒木さんは嫌そうだが、仕事内容としてはそうなるよね。
キャリアで管理職なんだもん。
お偉いさんが現場に出て捜査とかしていたら、大事だ。
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