パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「だからね。
昨日、花夜乃さんから僕は花夜乃さんのヒーローって言ってもらえて、すごーく嬉しかったんだ」

ふにゃんと幸せそうに彼が笑う。
それだけで私の胸がほわんと温かくなった。

……駒木さんが好き。

それは、間違いない事実だ。
でも、こんなになんでもできる駒木さんと釣りあう自信がない。
そのために頑張ったコンペだってダメになった。

……ううん。
そもそも〝釣りあう〟ってなんなんだろう?
そこから私、間違っていない?
私はそうやって、駒木さんをその地位や立場で見ていたのだ。
駒木さんは私と同じ、ひとりの人間なのに。

「駒木さんは私のヒーローです」

寝返りを打って、じっと彼を見つめる。
駒木さんもこちらを見た。

「駒木さんは私のヒーロー、だから……」

〝好き〟って伝えたいのに、なかなか言葉が出てこない。
ぐるぐる悩んだ末に私は、自分の唇を彼の唇に――重ねた。

「花夜乃さん?」

驚いたかのように、彼が目を大きく開く。

「……ヒーローにはご褒美が必要ですよね?」

燃えているんじゃないかと思うほど顔が熱い。
心臓はこれ以上ないほど速く鼓動していた。

「無理しなくていいんだよ?
嫌だったんでしょ、心拍数もストレス値も、これ以上ないほど上昇しているよ」

< 194 / 219 >

この作品をシェア

pagetop