パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「僕の両親はいいよ。
なにせ、中東にいるからね」

「中東!?」

思いがけない場所で、驚いてしまう。

「戦争で親を亡くした子供たちを育ててるんだ」

「へー、立派な方たちなんですね」

そんなご両親がいる駒木さんと私なんかが……とかまた考えかけたが、いかん、いかん。

「……立派なもんか」

吐き捨てるように言った駒木さんは、本当に嫌そうだった。

「自分たちが親を殺したから、育てているだけだ。
ただの、罪滅ぼしだよ。
ほら、もう寝よう」

「そうですね」

彼が目を閉じるので、私も目を閉じた。
あとで知ったが、中東にあるK'bの会社は傭兵事業もしており、戦争に少なからず兵隊を送り出していた。
ヒーローに憧れていた駒木さんにはそれが、許せないのかもしれない。



翌朝は駒木さんと向かいあって朝食を食べた。

「今日、時間を見つけて出してくるね」

「はい」

出してくるとは婚姻届のことだ。
嬉しくてたまらないのか、朝から駒木さんはゆるゆる笑いっぱなしだ。

「今晩は早めに仕事を切り上げるから、食事に行こう。
夜はホテルにお泊まりだよ。
だって今日は、初夜、だからね」

ふにゃんと嬉しそうに、締まらない顔で駒木さんが笑う。
そっか、今日婚姻届を出して入籍するってことは、そうなるのか。

「……はい」
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