パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
社内コンペに私の案を提出した。
採用されるかどうかなんてわからない。
でも、私はこれに賭けていた。
もしかして、私の実績は全部、他の女性社員が言うように男性社員のお膳立てなんじゃないか。
そんな不安が、常につきまとっている。
でも、これが採用されれば、私の実力だと自信がつきそうだった。

「マイ・エンジェル!
今日こそ僕と結婚しよう!」

会社を出ようとしたところでひさしぶりに目の前に薔薇の花束が出現し、驚くよりも噴き出していた。
たぶん、食事をして一夜を共にしたから警戒が緩んだというよりも、東本くんの上司なら、常識がない人じゃないだろうという気持ちが大きい。

「駒木さん?
毎回これ、準備するの、大変じゃないですか?」

花束を避けて彼の姿を探す。
相変わらず、駒木さんはタキシード姿だった。
あの姿で仕事をしているはずもないし、着替えてからくるんだろうか。

「別に?
花夜乃さんのためなら」

今日は私に話しかけてもらえて嬉しくて堪らないのか、彼はにこにこ笑っている。

「とりあえず食事にしないか、マイ・エンジェル?」

私の手を取り、駒木さんはにっこりと笑ったものの。

「いたー!
駒木……さん!」

後ろから、東本くんの手が彼の肩を掴む。
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