パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「なんだい、東本くん?
僕とマイ・エンジェルのデートを邪魔するなんて無粋だよ」

しれっと駒木さんが東本くんの手を払いのける。
てか、これってデートのお誘いだったんだ……。

「夜はけい……げふん、げふん」

そこまで言ったところで駒木さんから睨まれ、東本くんは咳払いをして言いかけた言葉を誤魔化した。

「……夜は上司と会食だと伝えたはずですが?」

にっこりと笑い、東本くんが逃がさないかのように駒木さんの腕を掴む。

「えーっ。
だってあのおじさんの話、武勇伝ばっかりでちっとも面白くないし。
しかも僕に取り入って天下りしたいの、みえみえだしさ」

吐き捨てるように駒木さんは言っているが、よっぽど酷い上司らしい。
私もおじさん社員から、過去の武勇伝を延々聞かされるのは苦痛だからよくわかる。
しかもそれが上司となれば、なおさらだろう。

「あんなのと一緒にまずい食事するより、花夜乃さんと一緒のほうが百万倍……いや、一京倍いいのは君だってわかるだろ」

「うっ」

同意するように駒木さんから視線を送られ、東本くんが詰まる。
どうも、彼も同意らしいが、それは私もわかる。
ただし、一京倍は言いすぎだと思うが。

「……それでも。
これは仕事のうちです。
我慢してください」

「あーあ。
わかったよ」

< 33 / 219 >

この作品をシェア

pagetop