パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
悪戯っぽく彼が片目をつぶってみせ、ほっと息はついたものの、また食後に結婚を迫られては困るわけで。

「すみません、杏露酒の……ソーダ割りを一つ」

下がろうとしていた店員に、急いで頼む。

「今日は飲まないんじゃなかったのかい?」

「あー、そうですね……。
ちょっとだけ」

怪訝そうな駒木さんを、適当に笑って誤魔化した。
少し酔って、まともに話のできない状態にしてしまえばいい。
前回と同じく酔い潰れないようには気をつけなければ。

手際よく駒木さんが、料理を取り分けてくれる。

「いただきます」

初めてのアワビをひとくち。

「んー、美味しい!」

コリコリとした歯ごたえが、癖になりそうだ。

「それはよかった」

ふにゃんと、実に気の抜ける顔で駒木さんが笑う。

「花夜乃さんは本当に美味しそうな顔をして食べるから、いろいろ食べさせてあげたくなるんだよねー」

私につられているのか、彼もにこにこ笑って料理を食べていた。

適当に話をしながら料理を食べる。
上海蟹のフカヒレスープはどこにフカヒレが入っているのかわからない、たまに行く中華料理店のものとは違い、がっつり存在しているうえにカニもどっさり入っていた。
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