パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「相談できない、花夜乃さんの事情もあるんだろうから、無理にとは言わない。
でも、僕はどんなときも、花夜乃さんの味方だよ。
僕にできることはなんだって言ってほしい」

眼鏡の奥から私を見つめる、駒木さんの目は真剣だ。

「駒木さんはどうして、私にそこまでしてくれるんですか」

レンズ越しにじっと、彼の目を見返す。

「花夜乃さんは僕の天使だからだよ」

眼鏡の下で目尻を下げ、即答された。

「いや、歩道橋から落ちてきた私が、天使みたいに見えた話は聞いたんですが。
それだけで、結婚したいとか思います?」

「えーっ。
ビビッときたんだよ、ビビッと。
ああ、この子が僕の天使だ、って」

駒木さんはうっとりと目を細めているが、まったくもって意味がわからない。

「それに、毎日邪険にあしらわれて、嫌にならなかったんですか?」

「別に?
毎日、真っ赤な薔薇の花束を抱えた、タキシードの男に待ち伏せされたら、そりゃ気持ち悪く思うだろ?」

平然と彼は言っているが、自覚があったんだ……。

「だったらなんで、こんな目立つ格好で毎回、待っているんですか。
花束代だって、バカにならないだろうし」

調べてみたら薔薇百本で一万五千円から五万くらいだと出てきた。
最低価格だったとしても、毎回受け取ってもらえないものにこんなに払うなんてもったいない。
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