パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
それくらい、駒木さんは思い詰めた目をしていた。
そのせいか、周囲のざわめきが酷く遠い。
まるでこの席だけ、別世界にいるようだ。

「わかった。
じゃあ僕は花夜乃さんに本気になってもらえるように、頑張るよ」

彼が微笑み、途端に喧噪が戻ってくる。

「……まあ、頑張ってください」

熱い頬を誤魔化すように、グラスに残っているお酒を飲んだ。
どんなに彼が頑張ったところで、私が彼を――男性を好きになるなんてありえない。
そう、思っていた。
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