パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
考えれば考えるだけ、苛々してきた。
これはもう、コンビニスイーツを買ってもいいよね!


篠永(しのなが)さん。
それ、見本?
オレも手伝おうか?」

見本の詰まったパッキンを運んでいたら、私より少し年上の男性社員に声をかけられた。

「ありがとうございまーす。
でも、大丈夫なのでー」

にっこりと笑顔を作ってそれを断る。
会議室に入ってひとりになった途端、大きなため息が出た。

「……これくらい、ひとりでできるって」

入社して三度目の春。
もういい加減、独り立ちできている。
しかし、男性社員たちはいまだに、私を新入社員のように扱った。
その原因は。

「……いっそ、丸刈りにでもすればいいのかな?」

自分の髪先を摘まみ、またため息が出る。
肩までの茶髪は、緩くウェーブしていた。
別に染めているわけでもパーマもかけているわけでもなく、これが天パの地毛なのだ。
髪だけじゃなく全体的に色素が薄いので、肌も白いし目もライトブラウン寄り。
おかげでよく、カラコンをしているのかと間違われる。
それだけならまだいいが、つぶらな瞳に小さいけれどぷっくり真っ赤な唇と、まるでフランス人形のような顔をしている。
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