パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
あの人は私が眠っているあいだは絶対に、NYAINを送ってこない。
朝になったら既読になっていたらいいな……。



「よしっ!」

仕事中にパソコンの画面を見て、小さくガッツポーズする。
今日は社内コンペの一次発表で、私の案が通っていた。

この喜びを分かちあいたくて、時間を見つけてトイレに行き、駒木さんにNYAINを送る。

【コンペ、一次通過しました!
嬉しい!】

少し見つめていたが、既読にはならない。
そうだよね、駒木さんだって仕事中だ。
夜の電話のとき、喜んでくれるかな……?
今日も押しつけられた仕事の分、一時間ほど残業して帰る。
私は増えた仕事もこなして残業一時間程度で帰っているのに、私に仕事を押しつけてなお残業している森田さんが実は、理解できない。

「花夜乃さん!」

会社を出たところで、いきなり男に抱きつかれた。

「えっ、あっ、うっ」

言葉にならない声を上げながら、バッグの中の非常ブザーを掴む。
勢いよく引き抜こうとして、よく知ったにおいに気づいて手が止まった。

「……駒木さん?」

「うん。
ああ、やっと花夜乃さんに会えた!」

まるで確かめるみたいに、つむじをすんすん嗅がないで!

「えっと……。
一旦、離れましょうか」

周囲の視線が痛い。
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