パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
会社の目の前で抱きあっていればそうなるだろう。

「ごめんね、このところずっと花夜乃さんに会えなかったから、つい」

私から離れた駒木さんがしゅんと項垂れる。
その姿はいつもピシッとしている彼にしては珍しく、ヨレヨレなように見えた。
中華のあとから半月ほど、彼とは会っていない。
よほど、お疲れなのかな。

「食事に行こう。
花夜乃さんの案が一次を通過したお祝いだよ」

私の手を掴み、駒木さんはすでに足を踏み出している。

「ありがとうございます」

それに笑いながら、私も着いていった。

今日はお祝いだからとホテルにある鉄板焼きのお店に連れてきてくれたが、これでもし、採用になったらどうなるんだろう?

「今日は飲むかい?」

「あー、そうですねー……。
明日、休みだし、少しだけ」

受け取ったメニューを開き、ワインを選ぶ。
が、私はあまり詳しくない。

「……お任せします」

食前酒と魚と肉で別々に選ばないといけないんだろうか。
それでフルボトルで出てきたら、飲みきれないがどうすれば?
急にそんな不安が私を襲ってくる。
こういうときは駒木さんに丸投げすればいいのは経験上、学習していた。

「花夜乃さんが任せてくれた!」

ぱーっと彼の顔が輝き、うきうきとワインを選びだす。

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