パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「それじゃあ、……」

銘柄を言われたところで、それがどんなワインなのか私にはわからない。
ただ、これはグラスだからと言われて、うんうんと頷いた。

「花夜乃さんのコンペ一次通過に」

「ありがとうございます」

少しして出てきた、スパークリングワインで乾杯する。
駒木さんはグラスの中身を一気に飲み干した。

「ひさしぶりで、徹夜続きの身体には染みるねー」

「……え?」

今、徹夜続きって言った?
どおりでこんなにヨレヨレなんだ。

「帰って寝なくて大丈夫なんですか……?」

喜んで連れてきてもらっておいてなんだが、駒木さんの身体が心配だ。

「んー、寝るより花夜乃さんの顔を見るほうが元気になれるよ。
食事して花夜乃さん送ったら、帰って寝るし」

「そう、ですか」

駒木さんはにこにこ笑っているけれど、寝てなさすぎてナチュラルハイになっていない……?
いや、でも、普段の駒木さんもこんな感じのような。

「そう。
それにこのところまともな食事を摂ってないからね。
ごはんくらい食べさせてよ」

本当にまともな食事はひさしぶりなのか、嬉しそうに彼は食べている。
つい、慰めるように、カウンターに並んで座る駒木さんの背中をぽんぽんと軽く叩いていた。

「お疲れ様です」

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