パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「うわーっ、花夜乃さんが慰めてくれたー!
これで僕、あと四十八時間働けそうだよ!」

一気に駒木さんが上機嫌になる。
もしかして、逆効果だった?
とにかくまだ働くとかやめて、早く帰って寝てください。

前菜のあと、ホタテと車エビのワイン蒸し焼きが出てきた。

「そういえば駒木さんって、なんのお仕事してるんですか?」

公務員だっていろいろ種類がある。
警察官だって、自衛官だって公務員だ。
……駒木さんにそういうのは似合わないけれど。
それに、私の推測どおり官僚だったとしても、部署によって仕事はいろいろだろう。

「公務員だよ?」

駒木さんは小首を傾げ、眼鏡越しにじっと私を見つめた。
年上相手にあれだが、可愛らしいそれについ、そうですかと納得してしまいそうになる。

「公務員もいろいろですよね?」

しかし誤魔化されずに、さらに問いを繰り返した。

「だから、公務員だよ」

ずいっと駒木さんの顔が近づいてくる。
もう少しで唇が触れる距離までくっつけられ、心臓がドキドキと速く鼓動した。

「……はい」

結局それに耐えられず、納得したと返事をする。

「うん」

私から顔を離し、駒木さんはグラスのワインをひとくち飲んだ。
心臓の鼓動が落ち着かない。
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