パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
もしかしたら反対に、ちゃんと身の潔白を証明しない私が悪いと言われるかもしれない。
そんな後ろ向きな考えが湧いてくる。
でも、駒木さんはいつも、私の話を真面目に聞いてくれた。
きっと、大丈夫。

携帯を出し、画面に指を走らせる。

【ちょっとつらいことがあったので、慰めてくれませんか】

ちょうどタイミングがよかったのか、送ってすぐに既読になった。

【いいよ。
食事に行こうか】

ありがとうとスタンプを返したら、すぐに元気出してねとスタンプが返ってきた。
この眼鏡男子のスタンプ、ちょっと駒木さんに似ているんだよね。
髪型と眼鏡が同じだからかな。
少し元気が出て、画面を閉じようとして気づいた。
〝慰めてください〟ってもしかして、〝抱いてください〟と取られていないよね……?
いやいや、私は駒木さんを信じるよ。

午後から職場の空気は最悪だった。
森田さんはカリカリしているし。
私は噂の的だし。

「オレは篠永さんを信じて……ひぃっ!」

書類を渡しにきた男性社員が声をかけてくれたものの、眼光鋭く森田さんに睨まれて後ずさりしていく。
もうそれに、ため息しか出なかった。

夕方になって、課長から呼ばれた。
会議室でふたりっきりなんて、あの話しかないだろう。

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