パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「僕は花夜乃さんが望まないのに、抱いたりしないよ。
ただ、花夜乃さんが僕にあんなことを頼んでくるほど酷く落ち込んでるみたいだから、気分転換させてあげたかっただけ」

ちょっと困ったように駒木さんが笑う。
……この人は私を、こんなにも大事にしてくれる。
彼に恋心などない私が、甘えていいのかな。

「なんか難しいこと考えてるね。
これは僕が花夜乃さんを本気にするために必要な努力なんだから、なにも考えなくていいの」

「あいたっ!」

ピシッと軽くデコピンされ、痛む額を押さえる。

「……ありがとうございます」

うん、今日はなにも考えない。
今は駒木さんに甘えておこう。

レストランじゃなくルームサービスを取ろうとメニューを見せてくれる。
価格のところがご丁寧にも全部隠されているのは、駒木さんが頼んだんだろうか。

「今日は栄養バランスとか、コースとか、そんなのは全然考えない!
花夜乃さんが好きなものだけ頼んだらいいよ。
スイーツだけで終わらせてもいいし。
そうだ、ケーキ全種類、頼んじゃおうか!」

「うわっ、ほんとですか!?」

素敵な彼の提案に、喜んで乗る。
たまにはこんな日も、あっていい。

「ほんとだよ。
今日は花夜乃さんをとことん甘やかすからね」

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