パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
困ったように笑いながら、テーブルにカップを置いて駒木さんは隣に座った。

「でも、そういう花夜乃さんが、好きだよ」

へらっと嬉しそうな顔を彼がする。
それを見て頬が熱くなった。

「無理して全部食べなくていいからね。
残りは僕が食べるし」

「ありがとうございます」

ケーキはいちごのショートケーキ、メロンのタルト、チーズケーキを取っていた。
どれも、一流のパティシエが作っているとあって、美味しい。

「美味しすぎて全部食べちゃいそう……」

「いいよ、いいよ。
僕の分を残さないとなんて考えなくていいからね」

ケーキを食べる私を、駒木さんは目尻を下げて幸せそうに見ている。
その顔を見ていたら、頬が熱を持っていった。

「あー、満足ですー」

ケーキは結局、半分ちょいまでしか食べられなかった。
残りはまた、駒木さんが食べてくれる。

「じゃあ、そろそろ寝ますか、マイ・エンジェル」

私の前で腰を折り、駒木さんが恭しく手を差し出す。

「そうですね」

なんだかそれがおかしくて、笑いながらその手に自分の手をのせた。

寝室はアロマなのか、いい匂いがしていた。
……それはいい。
どうして、ベッドがひとつなんだろう?

「ほら、おいで。
マイ・エンジェル?」

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