パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
先にベッドに横になった駒木さんが、肘枕で空いた空間を促すようにぽんぽんと叩く。

「ええーっ」

ここまでは大変嬉しいおもてなしだったが、これはさすがに困惑した。

「これは、どういうことですかね……?」

「ん?
僕が優しく寝かしつけてあげるから、遠慮しないで、さあ」

さあ、とか言われても、はい、そうですかとそこに横になれるわけがない。

「ああ!」

なにかに思い入ったのか、駒木さんが起き上がる。
そのまま部屋を出ていったかと思ったら、自分のネクタイを掴んで戻ってきた。

「僕がなにかしないか心配なら、これで手を縛っていいよ」

私にネクタイを渡してベッドの上に座り、促すように彼は、後ろで手首をあわせた。

「えっ、いや、そこまでは……」

さすがにそれは断ってネクタイをナイトテーブルに置き、ベッドに上がる。
こんなことをしなくてもきっと、駒木さんは私の嫌がることはしない。
なぜかそう、確信が持てる。

「いいのかい?」

「はい」

振り返った駒木さんは不思議そうに、何度か瞬きをした。

「花夜乃さんがいいのならいいけど。
それに僕は、花夜乃さんから同意がもらえない限り、花夜乃さんを抱く気はないからね」

眼鏡を外して置いた彼に促され、布団に入る。
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