パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
なら、これは明日、中田さんにやってもらえばいいのでは?

「それに篠永さん、暇でしょ?
だって仕事は全部、男がやってくれるんだから」

同意を求めるように彼女が周囲を見渡し、それに答えるかのようにくすくすと忍び笑いが起きた。

「……わかりました」

箱を抱えて自分の席に戻る。
私は男性社員に仕事を手伝ってもらうとか、ましてや代わりにやってもらうとか、しない。
しかし周囲の女性は事実を歪め、私をやっかんできた。
否定したが、受け入れてもらえるどころかさらに嫌がらせは酷くなり、私はもう諦めてしまったのだ。

できるだけ早く仕事を終わらせ、書類の詰まった箱を抱える。

「篠永さん、書類整理?
手伝おうか?」

書庫へ向かいかけたら、外回りから帰ってきた男性社員が声をかけてきた。

「ありがとうございまーす。
でも、大丈夫なんで」

明るく笑って、それを断る。

「でも、今からだと確実に残業だろ?
ふたりでやったほうが……」

「大丈夫なんで!
じゃあ!」

にっこりと笑顔でそれ以上なにも言わせない空気を作り、足早にその場を去った。
彼が、好意からそう言ってくれているのはわかっている。
でも、100%純粋な好意とは言い切れない。
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