パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
どおりで他の警官に指示を出したりしていたんだ。
ということは偉い人なのかな。

駒木さんが私を連れてきたのは、彼の家だった。

「セキュリティは万全だし、なにより僕がいるから安心だよ」

おどけるように彼が言い、ようやくぎこちないまでも少し笑えた。

私が落ち着くようにか、駒木さんはミルクたっぷりのカフェオレを淹れてくれた。
温かいそれが、身も心も満たしていく。
飲み終わって、ほっと息をついた。

「……今日は来てくれて、ありがとうございます」

警察官が、駒木さんが来なければ、最後までことにおよばれていた。
あの男のおぞましいものを、受け入れなければならなかった。
それに、もしかしたら殺されていたかもしれない。

「お礼なんていらないよ。
それが、僕らの義務だ。
それに僕のほうこそごめんね、遅くなって」

再び、彼が詫びてくれる。
それにううんと首を振った。
しかし、彼の謝罪は続いていく。

「電話に出ないからおかしいと思って、東本くんに近くの交番へ様子を見に行くように言ってくれと頼んで、警視庁を出たんだ」

ああ、駒木さんは気づいてくれていたんだ。
それだけで嬉しくて、涙が滲んでくる。

「二度目の電話は不自然な形で切れたし、何度かけ直しても繋がらない。
ただの気のせいであってくれと願ったよ」

彼の声は後悔で染まっていた。
それを聞くと、私までつらくなってくる。

「本当にごめん。
僕が、花夜乃さんを守れなくて、こんな目に遭わせて」

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