パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
そのまま、このあいだと同じように私の身体を軽くとん、とん、と叩いた。

「Twinkle Twinkle,little star……」

すぐに優しい、子守歌が聞こえてくる。
それは私の心をリラックスさせ、深い眠りへと誘った。



朝、目覚めたとき、不思議なくらいすっきりしていた。

「おはよう、花夜乃さん」

「おはようございます」

隣で寝ていた駒木さんの手が伸びてきて、指先で軽く私の鼻をぷにぷに押す。

「なんですか、これ」

「キスの代わり」

もしかしてあんな目に遭った私を、気遣ってくれているんだろうか。
だったら、嬉しいな。

「起きたんなら身支度をして朝食を食べに行こう。
今日は事情聴取に行かないといけないからね」

起き上がった彼が手を差し出してくれるので、それを借りて起き上がる。

「お手数おかけします」

「いいんだよー、僕は花夜乃さんのためだったらなんだってするからね」

悪戯っぽく片目をつぶってみせる駒木さんがおかしくて、くすくす笑っていた。

顔を洗っていたら遠くから、駒木さんの声が聞こえてきた。

「花夜乃さん、ちょっとタオル取らせてもらうねー」

「いいですよ」

私が返事をしたあと、ようやく彼は洗面所に来て、私の横の棚からタオルを取っていった。
しかし、私が邪魔になるわけでもないのに、なんで声をかけてきたんだろう?
しかも、あんな遠くから。

身支度を済ませて駒木さんの家を出る。
着替えは彼が昨日、持ってきてくれていたので助かった。

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