パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
男性と鍵のかかる部屋でふたりっきりになるとか、絶対に避けなければならないのだ。
残業にはなったものの、てきぱきやったので七時には会社を出られた。
「今日こそ僕と結婚しよう、マイ・エンジェル」
会社から一歩出たところで、立派な薔薇の花束に目の前を遮られる。
おかげで、急ブレーキをかけて止まらなければいけなかった。
「……は?」
花束を手で押さえ、どうにか向こう側を見る。
それくらい、大きな花束なのだ。
そこには昨日、私に手錠をかけようとしたヤバい男が立っていた。
しかもなぜか、タキシード姿で。
「さあ、一緒に役所へ行こうじゃないか」
彼が私の手を取り、口付けを落とす。
周囲には真っ赤な薔薇の花束を抱えたイケメンからの口付けなんてロマンチックに見えているらしく、小さく悲鳴がそこかしこから聞こえる。
しかし、私はといえば彼の唇が触れた指先から鳥肌が頭のてっぺんまで駆け上がってきただけだった。
「けっこうです」
きっぱりと彼を振り切り、足早に歩き出す。
「昨日は指環がなくて拗ねてたんだろ?
今日はほら、用意……」
ポケットに手を突っ込んだまま、彼が止まった。
「あれ?
あれあれ?」
残業にはなったものの、てきぱきやったので七時には会社を出られた。
「今日こそ僕と結婚しよう、マイ・エンジェル」
会社から一歩出たところで、立派な薔薇の花束に目の前を遮られる。
おかげで、急ブレーキをかけて止まらなければいけなかった。
「……は?」
花束を手で押さえ、どうにか向こう側を見る。
それくらい、大きな花束なのだ。
そこには昨日、私に手錠をかけようとしたヤバい男が立っていた。
しかもなぜか、タキシード姿で。
「さあ、一緒に役所へ行こうじゃないか」
彼が私の手を取り、口付けを落とす。
周囲には真っ赤な薔薇の花束を抱えたイケメンからの口付けなんてロマンチックに見えているらしく、小さく悲鳴がそこかしこから聞こえる。
しかし、私はといえば彼の唇が触れた指先から鳥肌が頭のてっぺんまで駆け上がってきただけだった。
「けっこうです」
きっぱりと彼を振り切り、足早に歩き出す。
「昨日は指環がなくて拗ねてたんだろ?
今日はほら、用意……」
ポケットに手を突っ込んだまま、彼が止まった。
「あれ?
あれあれ?」