パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
課長は疑っていないようで、お礼を言って電話を切った。
体調が悪ければすぐに休ませてくれるところは、優良企業だ。

「それでよかったと思うよ」

携帯を受け取り、私の頭を軽くぽんぽんして駒木さんが車を出す。
それは酷く、優しかった。

事情聴取はマンションのある地域の、警察署だった。
玄関に入った途端、制服姿の恰幅のいいおじさんと、他数名がすっ飛んでくる。

「おはようございます、駒木警視」

おもねるように彼らは駒木さんに挨拶してきた。

「私は彼女の付き添いできただけで、出迎えなど不要だ」

しかし駒木さんがバッサリと、彼らを切り捨てる。

「そんな暇があるなら、さっさと犯人を捕まえろ」

「は、はっ!」

冷たい視線を送られ、彼らはしゃっちょこばって敬礼をした。
駒木さんは偉い人なんだろうとは思っていたが、たぶん署長さんと思われる人からもこんな扱いなんて、どれだけなんだろう?

「おはようございます!」

案内された部屋に入ったら、待っていた女性警官が立ち上がり、勢いよく私たち……というよりも駒木さんに敬礼した。

「おはよう」

それに返した駒木さんは、酷く素っ気ない。
促されて彼女のと向かいあって座る。

「それでは、事情聴取をさせていただきます」

女性警官はガチガチに緊張しているように見えるが、……無理もないよね。
隣で腕組みをし、圧をかけている駒木さんがいるんだもん。

住所氏名とか、家に帰り着くまでの行動はすらすらと答えられた。
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