パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
私とNYAINのやりとりをしていた駒木さんも適宜、補足してくれる。
話しながら不安で、ちらちら女性警官をうかがってしまう。
あのときみたいに、私が悪いって言われるんじゃないだろうか、そんな不安が、拭えない。

「それで。
言いにくいとは思いますが、そのときの状況を……」

……あれを、女性相手とはいえ、人に話さなければならないの?

縋るように駒木さんを見上げたら、困ったような顔をしていた。

「犯人逮捕に必要なんだ、ごめん」

本当に申し訳なさそうに、彼が頭を下げてくれる。

「でも、花夜乃さんがどうしても話したくないっていうなら……」

「……話さなかったら、どうなるんですか」

「……立件、できないかもしれない」

苦しそうに彼が絞り出す。
たぶん、捕まえても罪に問えないってことだろう。
昨日のあれをまた、思い出すのも嫌だ。
人に話すも。
でも、そうしなければあの男は断罪されず、のうのうと普通の生活を続け、私はずっと彼に怯えて生活しなければならない。

「話し、ます。
だから、絶対にあの男を捕まえて、罰してください」

「わかった、約束する」

私の手を握り、駒木さんが力強く頷いてくれる。
女性警官も、一緒に、頷いた。

それでも、いざ言葉にしようとすると声が出てこない。

「無理はしなくていい、ゆっくりでいいから」

片手で私の手を握り、もう片方の手で駒木さんが背中をさすってくれる。
それにあわせて深呼吸を繰り返し、気持ちを落ち着けた。

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