パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「まあ、言わない駒木警視も悪いけどな」

呆れたように東本くんは笑っているが、まあそうなるよね。

「駒木警視はキャリアで、エリートだ。
ま、俺も同じくキャリアだけどな」

「キャリア……」

とはなんか、聞いたことがあるな。
地方公務員の一般警官とは違い、国家公務員なんだっけ。
それで、東本くんもキャリアってことはエリートなんだ。

「凄いねー、東本くん」

「ま、まあな」

後ろ頭を掻いて、彼は照れている。
そういうことは昔と変わっていない。

「それで、刑事部参事官つって、一般の会社の課長だな」

「ふーん、そうなんだ」

課長ってわりには駒木さんはゆるゆるほわほわしているが、大丈夫なんだろうか。
だいたい、警察官だって私の想定外だった。

「てか、駒木さんで大丈夫なの?
だってあーんなに緩いんだよ?」

私の主張を聞いて、また東本くんはため息をついているが、なんでだろう?

「あの人、めっちゃ怖いんだぞ?
なにせ、間違いなんて絶対しない、ミスターパーフェクトだし。
笑わないし、血液が氷点下、なんて言われてるくらいだ」

「……は?」

いやいや、そんなの全然、信じられない。

「でも、私の前じゃいつもにこにこ笑ってるよ。
いっつもすっごく甘やかせてくれるし」

「俺も最初、信じられなかった。
きっと見間違いだったんだろうと思ってたけど、今日もあれだしさ……」

東本くんは信じられないって感じだけれど、そんなに?
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