パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
そういえば、警察署で職員さんに接するときはえらく素っ気なかったような。

「そう、なん、だ……」

ちょっと信じられないけれど、駒木さんをいつも間近で見ている東本が言うんだからそうなんだろうな。

「そういや一時期、駒木警視は実は、軍事用アンドロイドじゃないかって噂もあったな」

おかしそうに彼は笑っているが、あまりそれは突飛すぎないか?

「これが、あの、『K'b(ケービ)』の御曹司だから、変に信憑性があってさ」

「……K'bの御曹司?」

またもや思いがけない単語が出てきて、首が斜めに傾く。
K'bとは最近よく聞く、警備会社の名前だ。
元は老舗の警備会社だが、もっとストーカーや痴漢対策に気軽に利用してもらいたいという思いから、若者に親しみやすい名前に変更したらしい。
ちなみに自社で警備ロボットの開発やなんかもしているので、まったくありえない話でもない。。

「そ。
K'bの社長、駒木警視のお兄さんなんだ。
それにあの人、大株主だから本当は警察官なんかやらなくても悠々自適の生活のはずなんだけどね」

「ほぇー」

高級官僚にしてもお金の使い方が派手だなーとは思っていたが、それでなのか。
東本くんのおかげで、今までの謎が一気に解決した。

私の相手をしながら、東本くんは仕事をしている。
といっても、見られてマズいものではないんだろうけれど。
私もわざわざ、彼のパソコンをのぞき込む気もない。
それに、仕事をしているのを邪魔するのも悪いし、なるべく黙っておこうとは思ったものの。
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