パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
おじさんはにこにこ笑いながらお茶を飲んでいるが、本当にこの人が犯人と戦えるんだろうか……?

ごそごそ棚を漁ったあと、女性はいくつかの雑誌やなんかを渡してくれた。

「警察の広報誌とかなんで、つまらないかもしれませんが。
でも、暇つぶしにはなると思います」

「あ、ありがとうございます」

受け取ったものの、つまらないのは微妙だ。

参事官室に戻ってきて、また応接セットに東本くんと向かいあって座る。
仕事の資料を読む気持ちで、もらった広報誌を読んだ。
それに普段あまり関わらない業界に触れるのは、なにか新しい気づきがあるかもしれないし。

「駒木警視、戻ってきた?」

ノックの音と共に廊下側のドアが開く。
落ち着かない気持ちで東本くんを見上げたら、大丈夫って目で言われて、座り直した。

「すみません、まだ戻ってきてないです。
たぶん、またどこかで、誰かに捕まっているんだと思います」

「駒木警視は人気者だね」

入ってきた、駒木さんより少し年上の男性の目が、話しながら私へと向かう。

「……お客さん?」

「はい。
駒木警視の」

「うそっ!?」

男性は驚いた声を上げたが、なんで?

「へー、そう、ふーん。
じゃあ、また来るよ」

珍しいものでも見るかのように私を観察し、彼は部屋を出ていった。

「なんだったの、今の?」

「さあ?」

とか言いながら東本くんはニヤニヤ笑っていて、性格悪いぞ。

「駒木警視、いる?」

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