パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
第五章 キスくらいならしてもいい……かも
仕事が終わったあと、駒木さんは私を携帯ショップに連れてきてくれた。

「壊されたから、新しいのを買わなきゃいけないだろ?」

「あー、そうですね……」

すぐにでもいるのはわかる。
持っていない今日一日、凄く不便だった。
でも、分割払いに分割払いをさらに乗せるのはきついな……。

なるべく機種代を押さえようと、安い価格帯のものを見る。
そうなると低スペックになるわけで。

「どうしよう……」

「なにを悩んでいるんだい?」

「あー……」

隣に立った駒木さんを、見上げる。

「僕がプレゼントするから、好きなのを選んだらいい。
どうせなら、お揃いにしようか」

などと言いながら駒木さんが手に取ったのは、高価格帯の機種だった。

「あ、いえ。
プレゼントなんて、そんな」

こんな高額なもの、ぽんともらうなんて悪すぎる。
私が断ったらなぜか、駒木さんはため息をついた。

「花夜乃さんはいつもそうだよね、すぐに遠慮する」

なにか、怒っている?
そう気づき、身がまえた。

「でも僕は、そういう花夜乃さんが好きだよ」

しかし、いつものように気の抜ける顔で駒木さんが笑い、力が抜ける。
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