意地悪警察官さんは、同担拒否で、甘々で。 ーワケアリ暴君様と同居していますー
第12話
〇明け方 病室
ベッドに寝かされているあいを、大河がベッド脇の椅子に座ったまま見つめている。
少し迷ってから、シーツの上にのせられたあいの手をそっと握る。
表情はひどく険しいまま。
軽いノックの音のあと、病室にロウが入ってくる。くちびるをぐっと引き結んで、それを見つめる大河。
ばっと立ち上がって、無言でロウに頭を下げる大河。
やはり無言のまま、小さく首を横に振るロウ。
囁き声でロウがつぶやく。
ロウ「……すぐに助けてくれたって、聞いたよ。ありがとう。……家に連絡なんて、したくなかっただろうに」
大河「…………全部、オレのせいで起きたんだ。……連絡したくねえとか、そんなガキみてえなこと言ってる場合じゃあなかっただけだ……」
ロウ「それでも、だよ」
大河、あいのベッド横の椅子にロウを座らせる。
大河「……オレの顔があるより、お前の顔があった方があいは喜ぶだろ」
「そばにいてやってくれ」
ロウは、何か言いたげに大河を見返してから、ゆっくりと頷いた。
〇朝 病室
あい、ゆっくりと目を開ける。
目の前には、心配そうな顔をしていたロウ。あいが目を開けたのを見てほっとしたようにため息を吐く。
ロウ「よかった……もう大丈夫だよ。怖いことはないよ」
あい「ロウ、くん……」
ロウに頭を撫でられて、うれしさで顔がゆるむあい。
あい「……大河さんは?」
最初に発した言葉が、「大河」の事だったのに少し驚いた顔をするロウ。
それからにっこり笑って見せる。
ロウ「大河は、さっきまで……オレよりずーっとあいちゃんのそばにいてくれてたよ」
あい「そう、なんだ……」
ロウ「……大河、凄く……いいやつ、だよね」
ロウの優しい口調の問いかけに、あいがゆっくりと頷くのを見て、ロウは一段と笑みを深くした。
-時間経過コマ-
〇昼間 あいとロウの実家
あい[モノローグ]「あれから、私は学校を休んで……実家で過ごしていた」
あいの部屋、小学生時代からの蓄積でかわいいモノが多い。部屋の中でぼんやりとスマホを見つめているあい。
あいの母「ご飯できたよー! 食べれそうなら食べちゃってー」
あい「はーい」
母の声で、立ち上がる。
キッチンに降りていって、ハンバーグとキャベツのお味噌汁が並んだ食卓に目を輝かせる。
あい[モノローグ]「私は事件のあった夜から、大河さんと話せないままでいた」
あい(……話す機会自体は、あったけれど……)
〇回想 病院 廊下
お見舞いに来ていたロウも学校をずっと休むわけにはいかず、「ごめん」と重ねながらしょんぼりしながら帰っていった。
ひとりになってから、トイレを目指して、廊下を歩いているあい。
廊下の奥に、大河がいるのを見つける。
怖い思いをしたけれど、「大河が好き」だと自覚してから初めてきちんと向き合うのに緊張しているあい。
あい(……謝らなきゃ、まずは……大河さんを傷つけたこと)
そう思いながら、大河に近づいていくあい。
しかし、大河の目の前にはカチッとしたスーツの女の人。凄く親しげに話している二人。
あい(……すっごい、美人……)
あいは気づかないものの、女性の手には「ABE Security」の文字が入った書類ケースがあった。
ふらふらとショックでその場を離れるあい。
あい(……あの二人、なんだか……すっごくお似合い、って感じだった……)
あい(…………そうだよね、私なんて……大河さんからしたらただのガキ、なんだ……)
思わず目の上に涙が浮かぶあい。振り切ってその場から逃げる。
(回想終了)
〇昼間 あいの実家 あいの部屋
食事を終えて、ベッドで横になりながらスマホをじっと見ているあい。
あい(……それでも、大河さんはLINOでずっと連絡くれてる。……中身はぶっきらぼうだけど、……優しい)
スマホ画面。あいと大河のやり取りが映る。
----------------------------------------------------
大河『ねこ いた』
あんまりかわいくないねこが眠そうな顔で塀の上から見下ろしている写真が添付されている。
あい『かわいいね! 大河さんにちょっと似てる』
大河『どこがだよ』
大河『コンビニにいたから、もらっといた』
お菓子を数種類買わないと手に入らない、しかしあいが大好きなキャラクターグッズの写真。あんまり上手じゃない。少しブレている。
あい『嬉しい! ありがとう~』
----------------------------------------------------
スマホ画面から顔を上げるあい。
きゅんとした表情で、くちびるを噛みしめている。
あい(……お仕事忙しいのに、絶対……毎日、連絡くれるんだ)
ぎゅっとスマホを抱きしめるあい。
あい(……釣り合わなくたっていい、失恋済みだっていい、……私……大河さんのそばにいたいんだ)
何かを決意した表情のあい。
〇昼間 大河とあいのマンション 廊下
あい「……よしっ……!」
大河とあいの部屋の玄関の前に立つあい。
ドキドキしながらドアノブに手をかける。
ベッドに寝かされているあいを、大河がベッド脇の椅子に座ったまま見つめている。
少し迷ってから、シーツの上にのせられたあいの手をそっと握る。
表情はひどく険しいまま。
軽いノックの音のあと、病室にロウが入ってくる。くちびるをぐっと引き結んで、それを見つめる大河。
ばっと立ち上がって、無言でロウに頭を下げる大河。
やはり無言のまま、小さく首を横に振るロウ。
囁き声でロウがつぶやく。
ロウ「……すぐに助けてくれたって、聞いたよ。ありがとう。……家に連絡なんて、したくなかっただろうに」
大河「…………全部、オレのせいで起きたんだ。……連絡したくねえとか、そんなガキみてえなこと言ってる場合じゃあなかっただけだ……」
ロウ「それでも、だよ」
大河、あいのベッド横の椅子にロウを座らせる。
大河「……オレの顔があるより、お前の顔があった方があいは喜ぶだろ」
「そばにいてやってくれ」
ロウは、何か言いたげに大河を見返してから、ゆっくりと頷いた。
〇朝 病室
あい、ゆっくりと目を開ける。
目の前には、心配そうな顔をしていたロウ。あいが目を開けたのを見てほっとしたようにため息を吐く。
ロウ「よかった……もう大丈夫だよ。怖いことはないよ」
あい「ロウ、くん……」
ロウに頭を撫でられて、うれしさで顔がゆるむあい。
あい「……大河さんは?」
最初に発した言葉が、「大河」の事だったのに少し驚いた顔をするロウ。
それからにっこり笑って見せる。
ロウ「大河は、さっきまで……オレよりずーっとあいちゃんのそばにいてくれてたよ」
あい「そう、なんだ……」
ロウ「……大河、凄く……いいやつ、だよね」
ロウの優しい口調の問いかけに、あいがゆっくりと頷くのを見て、ロウは一段と笑みを深くした。
-時間経過コマ-
〇昼間 あいとロウの実家
あい[モノローグ]「あれから、私は学校を休んで……実家で過ごしていた」
あいの部屋、小学生時代からの蓄積でかわいいモノが多い。部屋の中でぼんやりとスマホを見つめているあい。
あいの母「ご飯できたよー! 食べれそうなら食べちゃってー」
あい「はーい」
母の声で、立ち上がる。
キッチンに降りていって、ハンバーグとキャベツのお味噌汁が並んだ食卓に目を輝かせる。
あい[モノローグ]「私は事件のあった夜から、大河さんと話せないままでいた」
あい(……話す機会自体は、あったけれど……)
〇回想 病院 廊下
お見舞いに来ていたロウも学校をずっと休むわけにはいかず、「ごめん」と重ねながらしょんぼりしながら帰っていった。
ひとりになってから、トイレを目指して、廊下を歩いているあい。
廊下の奥に、大河がいるのを見つける。
怖い思いをしたけれど、「大河が好き」だと自覚してから初めてきちんと向き合うのに緊張しているあい。
あい(……謝らなきゃ、まずは……大河さんを傷つけたこと)
そう思いながら、大河に近づいていくあい。
しかし、大河の目の前にはカチッとしたスーツの女の人。凄く親しげに話している二人。
あい(……すっごい、美人……)
あいは気づかないものの、女性の手には「ABE Security」の文字が入った書類ケースがあった。
ふらふらとショックでその場を離れるあい。
あい(……あの二人、なんだか……すっごくお似合い、って感じだった……)
あい(…………そうだよね、私なんて……大河さんからしたらただのガキ、なんだ……)
思わず目の上に涙が浮かぶあい。振り切ってその場から逃げる。
(回想終了)
〇昼間 あいの実家 あいの部屋
食事を終えて、ベッドで横になりながらスマホをじっと見ているあい。
あい(……それでも、大河さんはLINOでずっと連絡くれてる。……中身はぶっきらぼうだけど、……優しい)
スマホ画面。あいと大河のやり取りが映る。
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大河『ねこ いた』
あんまりかわいくないねこが眠そうな顔で塀の上から見下ろしている写真が添付されている。
あい『かわいいね! 大河さんにちょっと似てる』
大河『どこがだよ』
大河『コンビニにいたから、もらっといた』
お菓子を数種類買わないと手に入らない、しかしあいが大好きなキャラクターグッズの写真。あんまり上手じゃない。少しブレている。
あい『嬉しい! ありがとう~』
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スマホ画面から顔を上げるあい。
きゅんとした表情で、くちびるを噛みしめている。
あい(……お仕事忙しいのに、絶対……毎日、連絡くれるんだ)
ぎゅっとスマホを抱きしめるあい。
あい(……釣り合わなくたっていい、失恋済みだっていい、……私……大河さんのそばにいたいんだ)
何かを決意した表情のあい。
〇昼間 大河とあいのマンション 廊下
あい「……よしっ……!」
大河とあいの部屋の玄関の前に立つあい。
ドキドキしながらドアノブに手をかける。