意地悪警察官さんは、同担拒否で、甘々で。 ーワケアリ暴君様と同居していますー
第15話
○昼 あいの学校
卒業式の日。
校内の桜が咲いて、泣いたり笑ったりの生徒たちがめいめいかたりあっている。
少し大人っぽくなったあい。その隣には夏帆とみあさ。
制服に卒業生のあかしのお花のコサージュをつけて仲良さそうに写真をとりあっている。
みあさ「……あっという間だったなー」
夏帆「寂しいけど、でも大学も遠くじゃないからいつでも会おうよ! ていうか会って!」
あい「……絶対、だよ! わたし多分二人のおかげで卒業できたレベルだから、お礼しなくちゃだし」
おおげさー!と笑っているみあさと夏帆。
しかしあいは渋い顔をしている。それを見てさらに笑うふたり。
あい(……事実、この学校の授業についてくのはやばかった…!!!)
半泣きの日々を思い出して渋い顔をさらに重ねてから、ふと表情を寂しげにくずす。
あい(……でも三年間って、本当にあっという間)
あい(私が大河さんと過ごした日々は、今思い返すとすごく短い一瞬でしかなくて——)
あいの脳裏に、大河と最後に直接会った日の、最初で最後に抱きしめてもらった日の風景が浮かぶ。
顔が赤くなるあい。
あい(……私の中でどんなに大きくても、大河さんからしたら……きっと小さな出来事でしかない)
ロウが遠くから手を振ってやってくる。あいの母親も一緒。
あい「あ! ロウくん!!」
嬉しそうにぶんぶん手をふるあい。
夏帆「……やー、あいの推し方も落ち着いたよね。最初はほんと自分のお兄ちゃんのうちわとか作ってるんじゃないかと思ったもん、あの勢い」
あい「……ウッ…してないもんそれは……」
あい(……嘘だ。実家にいる時作ったけど、でも普通にお母さんにそれで酢飯とかあおがれててショック受けてなかったことにしただけ…)
みあさが、じっとあいのことを見つめる。
不思議そうに見返すあいに、みあさが静かに言う。
みあさ「……それ落ち着いたのって、やっぱり大河さんがいたから?」
あい「……!」
その言葉に、夏帆もあいのことをじっと見つめる。
夏帆「……大河さんとはあのあと会えたの?」
あい「……ううん、一度も……」
夏帆「どんなにいい男の人でもさぁ! そんなに待たせてたらダメだよ! 大学行って……そうだロウくんみたいな人探したらいいよ! あいの学校にはいそうじゃない?」
あい「……そう、だね……」
納得しようとして、出来ないような困り顔になるあい。
それを見て優しくわらうみあさ。
みあさ「ま、そういうのはゆっくりでいいんだよ、自分のペースでね!」
うなずくあい。
ロウとあいの母が三人に合流する。
ロウ「卒業おめでとう! あんなちっちゃかったあいちゃんが……来年大学生!!」
わーっと嬉しそうにいいながら、少し涙目であいの手をぎゅっと握っているロウ。
みあさと夏帆は、その様子を見ながら思う。
みあさ・夏帆(推しになっちゃうのもちょっと分かるかも……なるほど…かわいい系だ…)
家族と友達にかこまれて、幸せを感じながらも、心からの笑顔が作れないあい。
既読はついたけど返事が来ていないスマホの画面のカットの上に、モノローグが重なる。
あい(……卒業式、今日だよって一応LINOはしたけど、……返事、こなかったな)
さみしげにため息を吐くあい。
その瞬間、スマホがぶるぶる震えだす。ビックリして少しコケそうになるあい。
慌ててスマホを取り出す。
あい「た……大河さん!」
夏帆「うそ!!」
みあさ「早く出なよ!」
手が震えてしまうあい。なんとか通話開始ボタンを押す。
あい「……も、もしもし」
大河[電話]『……よお、元気にしてたか?』
あい「……うん、して、してた……」
校門の近くに、大きな車が止まる。
それに気づくみあさ。あいは電話に夢中で気がつかない。
みあさ「……アレ、って……あいの、……」
夏帆「え……!! あ……!」
車から出て来る人影は、スーツの男の人。
あい、緊張して電話しているせいでみあさと夏帆がびっくりしてなにかを見つめているのに気づかない。
あい「た、大河さんっ……あの、卒業して、あの……だから、そろそろ、会いにいっても、良いですかっ……」
大河「……後ろだ」
びっくりして振り返るあい。
少し先に、スーツを着込んで、少し髪が伸びた大河が、スマホを耳に当てたままニヤっとした悪い顔で笑っていた。
大河「……迎えに来てやったぞ」
あい「大河さんっ!!」
思いっきり大河に抱きつくあい。
勢いがありすぎて少し身体をぐらつかせる大河。
大河「っおい、勢いありすぎんだろ!」
あい「だって! ……高校一年生が三年生になっちゃったんだよ!? すっごい待ったんだから! すっごい……会いたかった…」
涙が出て来てしまうあい。
ふっと優しく笑って、あいの頭を撫でる大河。
大河「悪かった。……ようやく、お前を守ってやれるくらいになれたから」
あい「……何、してたの?」
大河「……秘密」
大河の顔があいの顔に寄せられる。
おでこのキスを思い出して、ぎゅっと目を閉じるあい。
しかし、今度のキスはあいのくちびるに落とされる。
あい「!」
びっくりした顔で大河を見つめ返すあい。
大河「……好きだ、もう、離したくない」
あい「離さないで。私の全部、大河さんにあげるから!」
卒業式の日。
校内の桜が咲いて、泣いたり笑ったりの生徒たちがめいめいかたりあっている。
少し大人っぽくなったあい。その隣には夏帆とみあさ。
制服に卒業生のあかしのお花のコサージュをつけて仲良さそうに写真をとりあっている。
みあさ「……あっという間だったなー」
夏帆「寂しいけど、でも大学も遠くじゃないからいつでも会おうよ! ていうか会って!」
あい「……絶対、だよ! わたし多分二人のおかげで卒業できたレベルだから、お礼しなくちゃだし」
おおげさー!と笑っているみあさと夏帆。
しかしあいは渋い顔をしている。それを見てさらに笑うふたり。
あい(……事実、この学校の授業についてくのはやばかった…!!!)
半泣きの日々を思い出して渋い顔をさらに重ねてから、ふと表情を寂しげにくずす。
あい(……でも三年間って、本当にあっという間)
あい(私が大河さんと過ごした日々は、今思い返すとすごく短い一瞬でしかなくて——)
あいの脳裏に、大河と最後に直接会った日の、最初で最後に抱きしめてもらった日の風景が浮かぶ。
顔が赤くなるあい。
あい(……私の中でどんなに大きくても、大河さんからしたら……きっと小さな出来事でしかない)
ロウが遠くから手を振ってやってくる。あいの母親も一緒。
あい「あ! ロウくん!!」
嬉しそうにぶんぶん手をふるあい。
夏帆「……やー、あいの推し方も落ち着いたよね。最初はほんと自分のお兄ちゃんのうちわとか作ってるんじゃないかと思ったもん、あの勢い」
あい「……ウッ…してないもんそれは……」
あい(……嘘だ。実家にいる時作ったけど、でも普通にお母さんにそれで酢飯とかあおがれててショック受けてなかったことにしただけ…)
みあさが、じっとあいのことを見つめる。
不思議そうに見返すあいに、みあさが静かに言う。
みあさ「……それ落ち着いたのって、やっぱり大河さんがいたから?」
あい「……!」
その言葉に、夏帆もあいのことをじっと見つめる。
夏帆「……大河さんとはあのあと会えたの?」
あい「……ううん、一度も……」
夏帆「どんなにいい男の人でもさぁ! そんなに待たせてたらダメだよ! 大学行って……そうだロウくんみたいな人探したらいいよ! あいの学校にはいそうじゃない?」
あい「……そう、だね……」
納得しようとして、出来ないような困り顔になるあい。
それを見て優しくわらうみあさ。
みあさ「ま、そういうのはゆっくりでいいんだよ、自分のペースでね!」
うなずくあい。
ロウとあいの母が三人に合流する。
ロウ「卒業おめでとう! あんなちっちゃかったあいちゃんが……来年大学生!!」
わーっと嬉しそうにいいながら、少し涙目であいの手をぎゅっと握っているロウ。
みあさと夏帆は、その様子を見ながら思う。
みあさ・夏帆(推しになっちゃうのもちょっと分かるかも……なるほど…かわいい系だ…)
家族と友達にかこまれて、幸せを感じながらも、心からの笑顔が作れないあい。
既読はついたけど返事が来ていないスマホの画面のカットの上に、モノローグが重なる。
あい(……卒業式、今日だよって一応LINOはしたけど、……返事、こなかったな)
さみしげにため息を吐くあい。
その瞬間、スマホがぶるぶる震えだす。ビックリして少しコケそうになるあい。
慌ててスマホを取り出す。
あい「た……大河さん!」
夏帆「うそ!!」
みあさ「早く出なよ!」
手が震えてしまうあい。なんとか通話開始ボタンを押す。
あい「……も、もしもし」
大河[電話]『……よお、元気にしてたか?』
あい「……うん、して、してた……」
校門の近くに、大きな車が止まる。
それに気づくみあさ。あいは電話に夢中で気がつかない。
みあさ「……アレ、って……あいの、……」
夏帆「え……!! あ……!」
車から出て来る人影は、スーツの男の人。
あい、緊張して電話しているせいでみあさと夏帆がびっくりしてなにかを見つめているのに気づかない。
あい「た、大河さんっ……あの、卒業して、あの……だから、そろそろ、会いにいっても、良いですかっ……」
大河「……後ろだ」
びっくりして振り返るあい。
少し先に、スーツを着込んで、少し髪が伸びた大河が、スマホを耳に当てたままニヤっとした悪い顔で笑っていた。
大河「……迎えに来てやったぞ」
あい「大河さんっ!!」
思いっきり大河に抱きつくあい。
勢いがありすぎて少し身体をぐらつかせる大河。
大河「っおい、勢いありすぎんだろ!」
あい「だって! ……高校一年生が三年生になっちゃったんだよ!? すっごい待ったんだから! すっごい……会いたかった…」
涙が出て来てしまうあい。
ふっと優しく笑って、あいの頭を撫でる大河。
大河「悪かった。……ようやく、お前を守ってやれるくらいになれたから」
あい「……何、してたの?」
大河「……秘密」
大河の顔があいの顔に寄せられる。
おでこのキスを思い出して、ぎゅっと目を閉じるあい。
しかし、今度のキスはあいのくちびるに落とされる。
あい「!」
びっくりした顔で大河を見つめ返すあい。
大河「……好きだ、もう、離したくない」
あい「離さないで。私の全部、大河さんにあげるから!」