意地悪警察官さんは、同担拒否で、甘々で。 ーワケアリ暴君様と同居していますー
第4話
○あいの高校 教室 休み時間
友人1・みあさ「えっ!! そしたらあいちゃんは知らないお兄さんと一緒に住んでるってこと!?」
友人2・夏帆「しかも…こんなかっこいい人と!? なにそれ!!!」
友人達「「サイコーじゃん!!!」」
教室で目を輝かせた友達ふたりに机を囲まれているあい。夏帆はあいのスマホを見せてもらっている。大河の写っている写真は、ロウが送ってくれたお菓子のお礼のLINO用で撮ったもの。ロウに送る写真だからいつもよりキメ顔。
キャッキャとするふたりと対照的にぐったりとした顔をしているあい。
あい「……言っとくけど、ぜんぜん楽しくないよ別に……!」
あいの頭に最初に浮かぶのは、
「また風呂場の電気付けっぱなしだったぞクソガキ!」
と怒る大河の顔だった。
みあさ「でも! ちょっと会ってみたいよこんなかっこいいなら……!」
夏帆「行きたい行きたい! あいの家で課題やれないかな!?」
きらきらした目で言われてイヤそうな顔になるあい。それでも二人に押し切られて、大河にLINOを送る。返事がすぐきてピロンとスマホから音がする。
みあさ・夏帆「「なんだって!?」」
あい「いいってさ……」
大喜びの二人と、複雑そうに眉を寄せるあい。
LINOの画面には「人数分ケーキでも買ってこい」と大河からのテキストが残っている。
○放課後 街中 家へ向かう道
あいの手にはケーキの箱が。ケーキが食べられるのは嬉しいけれど、大河と友達を会わせるのが気が引ける。
あい(……だって大河さん、ロウくん>>>>越えられない壁>>>>>他の人、すぎるんだもん……そりゃ心配するでしょ)
あい「……あのさ、もしかしたらめっちゃ怒ってくるかもしれないけどいい?」
ふたりにおそるおそる伝えるあい。
みあさ「……あんなかっこいい人なら怒ってる顔も素敵だと思うから大丈夫!」
夏帆「ね!」
あい「……うーーん……」
あい(確かに顔がかっこいいのは事実……背も高いしねぇ……でも!なんだよねー)
○夕方 大河とあいの家 リビング
リビングでケーキとノートを広げている三人。ケーキがメインでノートはテーブルのはじに寄せられている。
みあさと夏帆はそわそわきょろきょろしている。
みあさ「大河さん、いつ帰ってくるかな?」
あい「今日は非番のはずだから、えー、あー、もしかしたらお出かけしてるかも?」
えー!残念!でも会いたい!と口々に言うみあさと夏帆。えへへ…と愛想笑いするあい。
あい(……大河さんにロウくん以外の友達いるイメージがあんまりないけど……)
がちゃん、とドアが開く音。三人の顔が一気にドアに向いた直後、リビングに大河が現れる。
また気合の入ったスタイリング、髪はふんわりしたかたちでかためて、服もタートルネットにジャケットを重ねて気合が入っている。
あい(何それ! もしかしてロウくんに会いに行ってた…!?!!)
気合の入った格好の大河を見て、かっこいいとか思う前にまず最初にそんな心配をするあい。
出し抜かれた!?と思っている。
リビングにいる三人を一瞬真顔で見つめてから、外向きさわやかスマイルを浮かべる大河。
大河「こんにちは、二人があいのお友達? ……よかったらこれからも仲良くしてやってね」
夏帆「はい、あの、お邪魔してますっ…」
みあさ「ありがとうございます、あとっ……ケーキ、大河さんの分も選んだので、よかったら……」
ケーキの箱を差し出すみあさに、にっこり笑って見せる大河。
大河「ありがとう。三人で選んでくれたの? 嬉しいよ。あとでいただくね。少し仕事を片付けてしまいたいから……悪いね」
大河はあい達にそう言ってからリビングを出ていく。ずっと無言のジト目でその白々しいやり取りを見ていたあい。
あい「……」
大河が出ていった廊下につながるドアが閉まった途端に、みあさと夏帆の興奮した表情があいに向けられる。
みあさ「えっ……めっちゃかっこいい~~!!! うそ! 動いてる方が百倍素敵!」
夏帆「なんで……なんであんなかっこいい人と住んでてそんな態度なの…!? びっくりする……」
あい「なんでって……」
あい(初めて会ったのが風呂上がりだしやばい同担拒否の同担だから、なんて言えないよ…!)
きゃあきゃあとはしゃぐ二人と、二人が喜んでくれたのは嬉しいけれどなんだかぐったりしていくあい。
結局三人のノートは開かれることなく、おしゃべりで時間が過ぎていく。
○日没直後 大河とあいの家 玄関
あい「ここのエレベーター来るまで時間かかるから……先行って押してくるね! 二人はゆっくりでいいよ」
帰りの支度をしているみあさと夏帆に声をかけたあい。一人で急いで玄関を出ていく。
ドアの音で、大河が自分の部屋から出てくる。
みあさ・夏帆「!」
大河「ふたりとも、もう帰るの? 気をつけてね」
ふたりを見てまたにっこり爽やか笑顔を浮かべる大河。普段あいの前では浮かべている眉間のシワもない。
夏帆「はい! おじゃましました…!」
ちょっと考えるように間を置いてから、優しい口調で大河が二人に声をかける。
大河「……あいつ、高校進学するんでで東京出てきて……遊びに行ったりする友達も、こっちじゃあんまり多くなさそうだから」
大河「これからも仲良くしてやってよ、嫌じゃなけりゃ」
大河がものすごく愛情深い表情で優しく笑うのを見て、ドキドキしてしまうみあさと夏帆。
勢い良くうなずいて見せるしかできない二人、なんとか玄関から出てから思わず顔を見合わせる。
みあさ「……めっっ…ちゃ、」
夏帆「やばくなかった…!?」
こくこくうなずき合う二人。あいがエレベーターホールで「エレベーターきたよ!」と叫んでいた。
○夜 大河とあいの家 リビング
あい「ひえーっ結局うちでおしゃべりしただけだから! 課題がぜんっぜん終わんないよー!」
半泣きで課題をやっているあい。お風呂上がりの大河が怪訝そうな顔で見ている。
大河「……なんでリビングでやってんだ」
あい「だって部屋だとベッドの誘惑があるじゃん! 絶対寝ちゃうもん!」
大河「…………まあせいぜい頑張れよ」
あまり興味なさそうに返事をする大河。缶ビール片手にスピーカーのままスマホで動画を見ようとして、少しあいの横顔を覗き見てからイヤホンを繋いで動画を見ている。
ー時間経過コマー
見ていたドラマが終わったので、イヤホンを外した大河。
リビングの机であいが突っ伏して寝落ちていた。
大河「……こんなとこで寝てんじゃねえ」
あい「んー……起きてる、ってば……」
むにゃむにゃと語尾がとけていくあい。
あい(……別に起きてる、けど……動くの、めんどい…)
大河「……」
無言の大河、少し間を置いてからあいの額に指を乗せる。
あい(!)
目を閉じたままの状態で突然の感覚にびっくりするけれど、目を閉じたまま動かないあい。
あい(……絶対これ……起きろってデコピンとかすると見た……いいよ、しなよ! その代わりロウくんに言いつけてやるんだから……)
少しドキドキしながら、寝たフリをするあい。
大河「……ったく」
あい(え、え、え……!?)
気づいたら、大河にお姫様だっこされているあい。何が起きているのかわからないから目を開けたいけれど開けられないまま。
寝たふりのまま運ばれていった先は、あいの寝室。背中がそおっとベッドにつけられたと思えば、ふとんがその上にかけられた。
大河の大きな手が、あいの額を優しく撫でる。
ちゅっと音を立てて大河の唇があいの額に触れる。それから大河は音を立てないようにドアが閉めて出ていった。
ドアが閉まる音を聞いて、大河が外に出ていったのを確認してから、真っ赤な顔でカッと目を見開くあい。
あい(……今の、何……?)
友人1・みあさ「えっ!! そしたらあいちゃんは知らないお兄さんと一緒に住んでるってこと!?」
友人2・夏帆「しかも…こんなかっこいい人と!? なにそれ!!!」
友人達「「サイコーじゃん!!!」」
教室で目を輝かせた友達ふたりに机を囲まれているあい。夏帆はあいのスマホを見せてもらっている。大河の写っている写真は、ロウが送ってくれたお菓子のお礼のLINO用で撮ったもの。ロウに送る写真だからいつもよりキメ顔。
キャッキャとするふたりと対照的にぐったりとした顔をしているあい。
あい「……言っとくけど、ぜんぜん楽しくないよ別に……!」
あいの頭に最初に浮かぶのは、
「また風呂場の電気付けっぱなしだったぞクソガキ!」
と怒る大河の顔だった。
みあさ「でも! ちょっと会ってみたいよこんなかっこいいなら……!」
夏帆「行きたい行きたい! あいの家で課題やれないかな!?」
きらきらした目で言われてイヤそうな顔になるあい。それでも二人に押し切られて、大河にLINOを送る。返事がすぐきてピロンとスマホから音がする。
みあさ・夏帆「「なんだって!?」」
あい「いいってさ……」
大喜びの二人と、複雑そうに眉を寄せるあい。
LINOの画面には「人数分ケーキでも買ってこい」と大河からのテキストが残っている。
○放課後 街中 家へ向かう道
あいの手にはケーキの箱が。ケーキが食べられるのは嬉しいけれど、大河と友達を会わせるのが気が引ける。
あい(……だって大河さん、ロウくん>>>>越えられない壁>>>>>他の人、すぎるんだもん……そりゃ心配するでしょ)
あい「……あのさ、もしかしたらめっちゃ怒ってくるかもしれないけどいい?」
ふたりにおそるおそる伝えるあい。
みあさ「……あんなかっこいい人なら怒ってる顔も素敵だと思うから大丈夫!」
夏帆「ね!」
あい「……うーーん……」
あい(確かに顔がかっこいいのは事実……背も高いしねぇ……でも!なんだよねー)
○夕方 大河とあいの家 リビング
リビングでケーキとノートを広げている三人。ケーキがメインでノートはテーブルのはじに寄せられている。
みあさと夏帆はそわそわきょろきょろしている。
みあさ「大河さん、いつ帰ってくるかな?」
あい「今日は非番のはずだから、えー、あー、もしかしたらお出かけしてるかも?」
えー!残念!でも会いたい!と口々に言うみあさと夏帆。えへへ…と愛想笑いするあい。
あい(……大河さんにロウくん以外の友達いるイメージがあんまりないけど……)
がちゃん、とドアが開く音。三人の顔が一気にドアに向いた直後、リビングに大河が現れる。
また気合の入ったスタイリング、髪はふんわりしたかたちでかためて、服もタートルネットにジャケットを重ねて気合が入っている。
あい(何それ! もしかしてロウくんに会いに行ってた…!?!!)
気合の入った格好の大河を見て、かっこいいとか思う前にまず最初にそんな心配をするあい。
出し抜かれた!?と思っている。
リビングにいる三人を一瞬真顔で見つめてから、外向きさわやかスマイルを浮かべる大河。
大河「こんにちは、二人があいのお友達? ……よかったらこれからも仲良くしてやってね」
夏帆「はい、あの、お邪魔してますっ…」
みあさ「ありがとうございます、あとっ……ケーキ、大河さんの分も選んだので、よかったら……」
ケーキの箱を差し出すみあさに、にっこり笑って見せる大河。
大河「ありがとう。三人で選んでくれたの? 嬉しいよ。あとでいただくね。少し仕事を片付けてしまいたいから……悪いね」
大河はあい達にそう言ってからリビングを出ていく。ずっと無言のジト目でその白々しいやり取りを見ていたあい。
あい「……」
大河が出ていった廊下につながるドアが閉まった途端に、みあさと夏帆の興奮した表情があいに向けられる。
みあさ「えっ……めっちゃかっこいい~~!!! うそ! 動いてる方が百倍素敵!」
夏帆「なんで……なんであんなかっこいい人と住んでてそんな態度なの…!? びっくりする……」
あい「なんでって……」
あい(初めて会ったのが風呂上がりだしやばい同担拒否の同担だから、なんて言えないよ…!)
きゃあきゃあとはしゃぐ二人と、二人が喜んでくれたのは嬉しいけれどなんだかぐったりしていくあい。
結局三人のノートは開かれることなく、おしゃべりで時間が過ぎていく。
○日没直後 大河とあいの家 玄関
あい「ここのエレベーター来るまで時間かかるから……先行って押してくるね! 二人はゆっくりでいいよ」
帰りの支度をしているみあさと夏帆に声をかけたあい。一人で急いで玄関を出ていく。
ドアの音で、大河が自分の部屋から出てくる。
みあさ・夏帆「!」
大河「ふたりとも、もう帰るの? 気をつけてね」
ふたりを見てまたにっこり爽やか笑顔を浮かべる大河。普段あいの前では浮かべている眉間のシワもない。
夏帆「はい! おじゃましました…!」
ちょっと考えるように間を置いてから、優しい口調で大河が二人に声をかける。
大河「……あいつ、高校進学するんでで東京出てきて……遊びに行ったりする友達も、こっちじゃあんまり多くなさそうだから」
大河「これからも仲良くしてやってよ、嫌じゃなけりゃ」
大河がものすごく愛情深い表情で優しく笑うのを見て、ドキドキしてしまうみあさと夏帆。
勢い良くうなずいて見せるしかできない二人、なんとか玄関から出てから思わず顔を見合わせる。
みあさ「……めっっ…ちゃ、」
夏帆「やばくなかった…!?」
こくこくうなずき合う二人。あいがエレベーターホールで「エレベーターきたよ!」と叫んでいた。
○夜 大河とあいの家 リビング
あい「ひえーっ結局うちでおしゃべりしただけだから! 課題がぜんっぜん終わんないよー!」
半泣きで課題をやっているあい。お風呂上がりの大河が怪訝そうな顔で見ている。
大河「……なんでリビングでやってんだ」
あい「だって部屋だとベッドの誘惑があるじゃん! 絶対寝ちゃうもん!」
大河「…………まあせいぜい頑張れよ」
あまり興味なさそうに返事をする大河。缶ビール片手にスピーカーのままスマホで動画を見ようとして、少しあいの横顔を覗き見てからイヤホンを繋いで動画を見ている。
ー時間経過コマー
見ていたドラマが終わったので、イヤホンを外した大河。
リビングの机であいが突っ伏して寝落ちていた。
大河「……こんなとこで寝てんじゃねえ」
あい「んー……起きてる、ってば……」
むにゃむにゃと語尾がとけていくあい。
あい(……別に起きてる、けど……動くの、めんどい…)
大河「……」
無言の大河、少し間を置いてからあいの額に指を乗せる。
あい(!)
目を閉じたままの状態で突然の感覚にびっくりするけれど、目を閉じたまま動かないあい。
あい(……絶対これ……起きろってデコピンとかすると見た……いいよ、しなよ! その代わりロウくんに言いつけてやるんだから……)
少しドキドキしながら、寝たフリをするあい。
大河「……ったく」
あい(え、え、え……!?)
気づいたら、大河にお姫様だっこされているあい。何が起きているのかわからないから目を開けたいけれど開けられないまま。
寝たふりのまま運ばれていった先は、あいの寝室。背中がそおっとベッドにつけられたと思えば、ふとんがその上にかけられた。
大河の大きな手が、あいの額を優しく撫でる。
ちゅっと音を立てて大河の唇があいの額に触れる。それから大河は音を立てないようにドアが閉めて出ていった。
ドアが閉まる音を聞いて、大河が外に出ていったのを確認してから、真っ赤な顔でカッと目を見開くあい。
あい(……今の、何……?)