6月のシンデレラ


「いや何してんの!?バカじゃないの!?」


その日、舞ちゃんに電話で報告したら、ものすごく怒られた。


「騙されてんのよ!!」
「そんなことないわ」
「ある!!だって美容師でしょ?絶対チャラいに決まってる!」


そんな風には見えなかったけれど。
むしろ誠実そうに見えた。


「永美里は男知らないからよ!純情そうだから騙せると思われたのよ」

「でも、その人も親に結婚迫られて困ってるって」

「嘘でしょ!簡単に信じるな!」


舞ちゃんってば、酷い。


「美容師なんて付き合っちゃいけない3Bの一人よ?絶対ヤバいから!!」

「なあにそれ?」

「そんなことも知らない夢見がちの世間知らずなのに…絶対やめときなさい!」

「でも、もう約束しちゃったの。明日会ってこれからどうするか決めようって」

「ハア!?」

「大丈夫、私舞ちゃんが思ってるよりはしっかりしてるわ」

「いやその自信どこから!?」

「心配しないでね」


そう言って電話を切った。
舞ちゃんはまだ言い募りたい雰囲気を感じたけど、会ってもいないのに決め付けるのは良くないと思うの。

多分あの人は悪い人じゃない。
チャラそうにも見えなかったし、何より名前がハルトだし。

名前がハルトの人に悪い人はいないわ。
私は本気でそう考えていた。


< 10 / 100 >

この作品をシェア

pagetop