6月のシンデレラ
そうだった、頑張らなければ。
「がんば…るので、少しずつでもいい…?」
何故だろう、タメ口で話すだけでこんなに緊張してしまうなんて。
「うん。じゃあ、行こうか永美里」
「っ、」
――ああ、ごめんなさいハルトくん。
今まであなたにしかときめいたことがなかったのに、同じ名前とはいえ別の男性にときめいてしまいました。
* * *
私たちは映画を観ようということになり、最寄の映画館にやって来た。
「何が観たい?」
「ええっと…」
正直パッと見てすごく見たいと思ったのは、アクションものの洋画だった。
人気シリーズで観たいと思っていた映画の最新作。
バンバン撃ちまくる系の激しいアクションだけど、これはデートで観ても変じゃないのだろうか。
初心者の私にはわからない。
やっぱりデートと言えば、恋愛ものを観るのが正解…?
「永美里?」
「あっ、その…あれ」
とりあえず素直に観たいと思った映画を指差す。
「ああ!これ俺も観たかったやつだ」
「本当ですか?」
「うん、このシリーズ面白いよね」
「…!私も大好きで毎回観てるんです…!」
舞ちゃんはあんまり興味なくて、一緒に話したりできないからついテンションが上がってしまった。