6月のシンデレラ

3.知らない気持ち



青人さんと偽装恋人になって早2週間。
その後はあまり上手くいってない。


「伯母さんが話を聞いてくれない…?」
「話がしたいと切り出そうとしても、疲れてるとか今忙しいとか、別の話で逸らそうとされて。
全然話せなくて…」
「そうか…」


恐らく伯母は気づいている。
私が縁談を断ろうとしていることを。


「私は百貨店なのでシフト制だけど、伯母は土日休みだから休みが合わず…。
この前土曜休みだから思い切って時間が欲しいと言ったけれど、朝から予定があると出かけられて…」

「避けられてるなぁ」

「やっぱりそうなのかしら…」


あまりにも進展しないので、会って相談しようということになり、仕事終わりに個室居酒屋でお酒も少し嗜みつつごはんを食べているというのが今。


「どうしたらいいのかわからないです…」
「長期戦とするか、こちらから突撃するか…」
「突撃!?」
「伯母さんが帰宅するのを二人で待ち構える…みたいな」
「待ち伏せってことね」
「そうだね」


確かにもうそこまでするしかないのかもしれない。
このままだと私の話は一切聞いてくれそうにないし、その間にも伯母ならどんどん縁談を進めそう。

伯父は中堅の物流企業を経営しており、伯母はその会社の副社長。
私が虎橋グループの次期社長と結婚すれば、虎橋グループの援助を受けられて会社も安泰。
絶対に縁談を進めるはず。


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