6月のシンデレラ
「き、気をつけるね…」
「いや、すごくかわいいなぁと思って」
「えっ!?」
か、かわいいだなんてそんな…!
みるみる顔が熱っていくのがわかる。
その後家まで送ってもらったけれど、どんな会話をしたかあまり覚えていない。
いつの間にか帰宅して、自室にいた。
どうしよう、未だにずっとドキドキしてる。
この気持ちは何…?
私ったら、どうしてしまったんだろう――…
* * *
「結局例の美容師と偽装恋人になってデートして、しかも好きになっちゃったの!?」
「違うわ、舞ちゃん…!まだ好きだなんて…!」
「いや、あんたそれ、絶対好きでしょ」
一人だと悶々としてしまうので、仕事終わりに舞ちゃんに相談に乗ってもらうことになり、今は舞ちゃんが一人暮らしするお家にお邪魔している。
忙しいのに申し訳ないので、ごはんは私が作った。
「永美里が現実の男に目を向けるようになったのはいいけど…、その橋はアブナイ予感しかしない……」
「そんなことないわよ…青人さん、本当にいい人よ?」
「でも、イケメンなんでしょ?」
「ええ、とっても。すれ違い様によくチラチラ見られてるの」
「そんなにモテる男はヤバい沼にハマる予感しかしないわ!今ならまだ引き返せるから!!」