6月のシンデレラ


ハルトくんにかわいいね、と言われる度に胸がキュンとなる。
ハルトくんの手は魔法使いみたいだけど、私にとっては王子様。
ずっとハルトくんと一緒にいたい。

ある時、一緒に遊んでいたら、私の靴が片方だけ脱げてしまった。
脱げた靴をハルトくんが拾い、私に履かせてくれた。


「シンデレラみたいだね」


その言葉に胸がきゅうっとなって、思わず口に出していた。


「…ハルトくん、好き」


ハルトくんはびっくりした表情をしていた。
私は恥ずかしくなって逃げようとして、ハルトくんに腕を掴まれた。


「――待って!」
「…っ」
「エミリ、今のほんと?」


コクリと頷く。
顔が真っ赤になっているのが自分でもわかった。


「俺もエミリが好きだよ」
「…ほんと?」
「本当」


よかった、嫌われてなかった。
そう安堵したら、ハルトくんの表情が変わった。


「…エミリ、ちゃんと意味わかってる?
俺はエミリのこと、女の子として好きなんだよ」

「え…、」


熱っぽい表情で真っ直ぐ見つめられたと思ったら、そのまま顔を引き寄せられてキスされた。
好きな人との初めてのキスは、心臓が破裂しそうなくらいドキドキした。


「エミリ、絶対に迎えに行く。
だから大人になったら、結婚して」


思わず涙を溢しながら、大きく頷いた。


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