6月のシンデレラ
伯父と伯母は食の好みが全く違っており、好きなものや苦手なものがバラバラで献立にはいつも悩まされていた。
一人ずつメニューを変えるのも大変なので、何とか工夫して食べてもらえるように頑張った。
すると、今では苦手だった食べ物も調理方法によっては食べてもらえるようになった。
「だから任せて!」
「永美里…」
急に後ろから抱きしめられてドキッとする。
「ふぇっ!?」
「ありがとう…楽しみにしてる」
「う、うん…っ」
「お金はこのカードから払ってね」
そう言って渡されたカードを見て、思わず目が点になった。
まさかのブラックカード。
「……。」
「どうかした?」
「いえ……」
青人さんって、本当にお金持ちのお坊っちゃんなんだなって…改めて実感した。
「本当にいいの?」
「これくらいさせて。好きに使っていいから」
「ありがとう」
青人さんはもう一度ぎゅっと抱きしめる。
こんなにドキドキしてチルな朝は初めてだ。
朝食はトーストとスクランブルエッグで簡単に済ませた。
青人さんはコーヒーはブラック派。そういう些細なことも知れるのが嬉しい。
私はブラックは飲めないので、ミルクを入れようと思ったら「カプチーノにしてみる?」と言われた。
「もらったコーヒーメーカーがあるんだけど、全然使ってないんだよね」